朝井リョウさんの「イン・ザ・メガチャーチ」を読んだ感想
推し活をテーマにした朝井リョウさんの「イン・ザ・メガチャーチ」について、実際に読んだ感想や気づきなどを書いていきます。
今回は朝井リョウさんの「イン・ザ・メガチャーチ」について解説していきます。
メガチャーチとは「信徒数が2,000人以上のプロテスタントのキリスト教会」のことを指します。
特定の宗教を熱心に信仰する姿を現代の「推し活」と照らし合わせて、さまざまな立場から推し活経済に関わる人々の姿が描かれています。
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ネタバレをしないように気をつけながら、物語の内容を深掘りしていこうと思います。
それでは詳しくみていきましょう!
「イン・ザ・メガチャーチ」の簡単な紹介
まずは簡単なあらすじの紹介から。
沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。 ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側 世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。
出典: GoogleBooksより引用
あるアイドルを事業としてプロデュースする男性の視点から始まり、その娘だったりアイドルに熱中するOLだったり、推し活に何かしらの形で関わる人々たちの、心の揺さぶられ方をリアルに描いていく物語になっています。
おそらく多くの人々がファンとして生きている側だと思うのですが、この本では「ビジネスとして推し活を展開していく」立場の世界も描かれています。
運営者メモ: アイドルグループ運営の巧妙な作戦に驚きました(自分は櫻坂46のファンです)。
また、人間としての心理に深く入り込んでくるような考え方もあり、これからの生き方を考え直すきっかけになる文章に溢れていました。
詳しくは「心に残った文章をピックアップ」の部分で紹介します。
どのような人に読んでもらいたいか
もちろん全員に読んでもらいたい本ですが、特に以下のことに当てはまる人には楽しめる作品だと思います。
- 何かしら応援している存在がある
- その存在の情報に心を揺さぶられる時がある
- 推している自分自身がこのままで良いのか不安に思う時がある
アイドルであったり音楽グループであったりスポーツチームであったり。 何かしら自分のプライベートな時間を削ってでも、それらの情報を見つけようとすることがあるのではないでしょうか?
自分の生活と照らし合わせながら「イン・ザ・メガチャーチ」を読むことで、これまで以上もっと深いところまで考えるきっかけを手に入れられると思います。
心に残った文章をピックアップ
もう心に刺さる内容が多すぎて多すぎて…… その中でも特に考えさせられる内容だった文章をピックアップしました。
- 何かに熱中している中毒状態になることで、人生を苦しくないと感じられる
- 人生において必須でないことに熱中できるのは、普通の人にはない特殊な才能
- 同じ趣味を持っている人に出会えることは、ポジティブに生きることへ繋がる奇跡
- たとえ正しくて一般的な人生を選ぶことができても、その人生が楽しいとは限らない
それぞれ見ていきましょう。
気になったものがあれば深掘りして考察してみると面白いと思います。
何かに熱中している中毒状態になることで、人生を苦しくないと感じられる
我を忘れて何かに夢中になっているほうが、楽だからです。 物語への没入というのは、手っ取り早く我を忘れるために有効な手段の一つなんですよね。 中毒症状があるほうが苦しくないのだ、人生は。
出典: p182より引用
目標も希望もない。あったとしても達成するための行動を後回しにする。 そのような生活を続けてネガティブな気持ちになるのであれば、何かしら自分以外の誰かの人生に入り込んだ方がラクなのだと思います。
たしかに自分の好きなことに熱中している瞬間は、たとえ一瞬だけであっても嫌なことを忘れることができます。 このように「我を忘れて没頭できること」を見つけると、退屈な人生にも希望が見えるかもしれません。
人生において必須でないことに熱中できるのは、普通の人にはない特殊な才能
物語に没入して視野を狭められるというのは、ある種の才能なんです。 差し出された物語に自ら乗り込み、没入していける気質の人。 物語と自分との境界線が曖昧になるほど共感能力が高く、何でも自分ごととして捉えがちな人。 没頭度が高く、自ら視野を狭めていける人。
出典: p184より引用
自分の人生を生きるだけでも精一杯なのに、わざわざ他人の人生の道のりを気にしているんですよね、推し活って。 でも、そのようにしてでも他人に興味を持つことができるのは、ある種の人間ならではの魅力なのかもしれません。
生成AIの勢いが大きくなることに反発するような、リアルな世界に密に触れていくことを求めている本能ではないかと思いました。
同じ趣味を持っている人に出会えることは、ポジティブに生きることへ繋がる奇跡
誰を、何を好きになってもいい時代に、同じ形の愛を抱く仲間と出会えた奇跡。 その仲間達と手を取り合い、同じ目標に向かって団結することの充実感。 すべてが有り難く、とても尊い。
出典: p329より引用
自分の推し活にはこれが足りないんですよね……(趣味を語れる友達がいない)。 大人になればなるほど、身近で趣味を共有できる友達が減ってしまうのではないでしょうか。
もし自分の推し活について語り合える人がいるのであれば、それは本当に幸せなことだと思います。
たとえ正しくて一般的な人生を選ぶことができても、その人生が楽しいとは限らない
でも、どの物語にも飲み込まれない人生って、間違いはしないけど別に楽しくもないんですよね。
出典: p440より引用
失敗せずに成功だけを目指す人生が理想ですが、たまには道を外れても良いのかもしれません。 誰かのサブストーリーに没頭する瞬間を体験することで、これまでの人生では考えられなかったことに出会える可能性があったり。
「好きと感じたことを優先する」といった生き方をしていきたい……と感じさせてくれる文章でした。
最後に
いかがだったでしょうか?
この記事では、朝井リョウさんの「イン・ザ・メガチャーチ」について解説しました。
推し活というビジネスが世の中を圧倒している今だからこそ、読んでもらいたい珠玉の1冊です。
興味のある人はぜひ読んでみてください。